「ゴルフのルールはたくさんあって覚えきれない」「初ラウンドで同伴者に迷惑をかけたくない」――ゴルフ規則書(R&A・USGA共同制定)は本編だけで200ページを超える分厚さですが、初ラウンドで実際に使うのはそのうち20項目程度で十分回れます。本記事では、初心者がまず押さえるべきルール20を「プレーの大原則」「ペナルティ・OB処理」「打順とプレーペース」「グリーン作法」の4分野に整理し、近年改訂された新ルールも含めて解説します。結論を先に言うと、20項目を丸暗記しなくても「困ったら同伴者・キャディに聞く」が公式に認められた行動です。
ゴルフルールはなぜ覚える必要があるか?
ゴルフは審判のいないスポーツで、自分でルールを判断・適用しながらプレーします。初心者だからといってルール無視でいいわけではなく、最低限の知識がないと次の3点で困ります。
- スコアが正しく付けられない: ペナルティの加算ルールを知らないと、ホールアウト時の数え方を間違える
- 同伴者に迷惑がかかる: プレーが極端に遅い・グリーン作法を知らないと、ラウンド全体の進行に影響する
- コースから注意を受ける: ドレスコード違反やプレーファスト違反は、ゴルフ場側から指摘されることがある
逆に、本記事で紹介する20項目を押さえておけば、初ラウンドで「ルール面で叱られる」ことはまずありません。

プレーの大原則(ルール1〜5)
① ボールは「あるがまま」に打つ
ゴルフ最大の原則です。フェアウェイの良いライでもラフの悪いライでも、原則としてボールが止まった場所からそのまま打ちます。動かしていいのはペナルティを受け入れる場合(後述のアンプレヤブル等)に限られます。
ただし「ルースインペディメント」と呼ばれる自然物の小石・葉・木の枝(地面に固定されていないもの)は、ボールに触れずに取り除いてOKです。
② スタートはティーグラウンドから
各ホールの第1打は、必ずティーグラウンド(ティーイングエリア)から打ちます。男性は白ティー(レギュラー)、女性は赤ティー(レディース)が一般的。前進ティー・シニアティーがあるコースもあります。
③ ティーアップはマーカーの後方区域内
ティーアップしてプレーできるのは、左右2つのティーマーカーを結んだ線より後方、かつクラブ2本分以内(2クラブレングス)の長方形の区域内です。この区域の外からプレーすると、ストロークプレーでは2罰打を加算した上で正しい区域から打ち直しになります。
④ 1ホールの基本はストロークプレー
打った数を全て数え、18ホール合計で競うのがストロークプレーで、ほぼ全ての一般ラウンドはこの方式です。空振りも1打としてカウントするので、初心者がやりがちな「振ったけど当たらなかった」も打数に含めます。
⑤ クラブは14本まで
ゴルフバッグに入れて持ち運べるクラブの上限は14本。15本以上だと違反になり、1ホールあたり2罰打(最大4打)のペナルティが課されます。初心者が借り物・中古クラブをかき集めて持ち込むときは、必ず本数をカウントしてください。
ペナルティとOB/ハザードの処理(ルール6〜11)
ここが初心者にとって一番ややこしい分野ですが、押さえるべきは6項目だけです。
⑥ OB(アウトオブバウンズ)は1罰打+元の位置から打ち直し(ストローク・アンド・ディスタンス)
白杭で示されたコース外のエリアに入ったボールはOB扱い。基本処理は「1罰打を加えて、元の位置から打ち直し」で、これを「ストローク・アンド・ディスタンス」と呼びます。ティーショットがOBになった場合は「打った1打+罰打1打」を加え、ティーから打つのは3打目としてカウントします。なお多くのゴルフ場では、初心者向けのローカルルールとして「特設ティー(前進4打目)」が設定されている場合があります(正式ルールではなくコース独自の救済措置)。
⑦ ロストボール(紛失球)は3分以内に発見できなければ1罰打
ボールが見つからない場合、3分間の捜索時間(2019年改訂で5分→3分に短縮)が認められます。3分以内に見つからなければロストボール扱いで、OBと同じく「1罰打+元の位置から打ち直し」です。
⑧ ペナルティエリア(赤杭・黄杭)は1罰打で救済
池や谷など、コース上に設定された区画は「ペナルティエリア」と呼ばれ、赤杭(ラテラル)と黄杭の2種類があります。
- 赤杭: 横方向の救済が選べる(ボールがエリアを最後に横切った地点から、2クラブ以内・ホールに近づかない位置にドロップ)
- 黄杭: 横方向の救済不可(ボールとピンを結んだ後方延長線上にドロップ)
いずれも1罰打を加算して救済を受けます。打数 + 1 = ペナルティ後の打数になります。
⑨ 暫定球: OBやロストの恐れがある時に予防で打つ
ティーショットがOBに行きそうな場合、その場で「暫定球を打ちます」と宣言してから別のボールを打ちます。後で元のボールが見つかればそれを続行、見つからなければ暫定球(1罰打加算)で続行というルール。プレーファスト(後述)のために重要な仕組みです。
⑩ アンプレヤブルは1罰打で打ち直し可能
ボールが木の根元・崖の中・打てない斜面など、どうしても打てない位置にある場合、自分で「アンプレヤブル」を宣言できます。1罰打を加算した上で、以下3つの選択肢から救済方法を選びます。
- 元の位置から打ち直し(ストローク・アンド・ディスタンス)
- ピンとボールを結んだ後方線上に距離無制限でドロップ(後方線救済)
- ボールから2クラブレングス以内、ホールに近づかない位置にドロップ(ラテラル救済)
なお、ボールがバンカー内にある場合は上記3つに加え、2罰打を加算してバンカーの外へ後方線救済できる特例(2019年改訂で新設)もあります。
⑪ ディボット跡・スプリンクラーは救済なし(原則)
フェアウェイ上のディボット跡(他人のショットで掘れた土の跡)に自分のボールが入ってしまった場合、救済はありません。あるがままに打つしかありません。「運が悪い」と諦めるしかない場面で、これがゴルフのメンタル面の難しさでもあります。

打順とプレーペースのルール(ルール12〜15)
⑫ ティーショットの打順はオナー
各ホールの第1打は「オナー(前のホールで最少スコアだった人)」から打ちます。第1ホールはスタート時のティー順表示やくじ引きなどで決めるのが一般的。スタート時は同伴者と相談して決めましょう。
⑬ 2打目以降は「遠い人」から
ティーショット後は、ピンから遠い人が先に打つのが基本ルール。「ピンに近い人を待たせない」というプレーペースの考え方が背景にあります。
⑭ プレーファスト(早く打つ)が大原則
ゴルフ最大のマナーが「プレーファスト」です。目安は1ホール15分、18ホール4時間半。R&Aの指針では「準備ができたら目安として40秒以内にショット」が推奨されています。素振りを5回も6回もすると、後ろの組から急かされる原因になります。
⑮ レディーゴルフ(柔軟運用)もOK
近年は「打順より進行優先」の考え方が広まり、同伴者全員の合意があれば準備できた人から先に打って良いという運用(レディーゴルフ)が認められています。とくに初心者がいる組では、ベテランが先にナイスショットして場の流れを作る…といった使い方が一般的です。
グリーン・ピンに関するルール(ルール16〜20)
⑯ グリーン上ではマーカーでボール位置をマーク
グリーン上に乗ったら、ボールの真後ろにマーカー(コインや小さな専用マーカー)を置き、ボールを拾い上げて拭くのが基本。マークせずにボールを動かすと1罰打です。マーカーを忘れたら、グリーン上のティーや小石でも代用OK。
⑰ ピンは抜いても、刺したままでもOK(2019年改訂)
以前は「ピンを刺したままパットして当たると罰打」でしたが、2019年のルール改訂で罰打が廃止されました。現在はピンを抜いても刺したままでも自由に選べます。風が強い日や同伴者全員が距離感をつかみやすいよう、刺したままパットする人が増えています。
⑱ 同伴者のパッティングライン上を踏まない
グリーン上では、同伴者のボールとカップを結んだライン(パッティングライン)を踏まないのがマナー。一度踏み跡が付くとボールの転がりが微妙に変わるためです。罰則ルールではなくマナーですが、初心者が一番嫌われるのがこの「ラインを踏む」行為です。
⑲ 自分のライン上を「指で示す」のはセーフ
近年改訂で、自分のラインの方向をボールマーカーの先で指したり、地面を指でなぞる程度の確認はOKになりました。ただし、「ラインを大きく確認するためにグリーン上を歩き回る」のは時間の浪費になるので避けます。
⑳ ホールアウト後はすぐにグリーンを離れる
カップに入れた後は、スコアの確認・ボールの拾い上げを素早く済ませ、次のホールへ移動します。グリーン上で長話・ストレッチ・スコアカード記入などをするのはマナー違反。後ろの組のためにスペースを空けるのが鉄則です。
初心者がよく違反してしまう5つのルール
統計的に、初ラウンドで一番やってしまうのは次の5つです。
| # | 違反内容 | 罰則 | 対策 |
|---|---|---|---|
| 1 | 空振りを打数に数えない | 申告ミス | 必ずカウント |
| 2 | OB後の打数の数え間違い | スコア誤申告 | 「打1+罰1=次は3打目」を口に出す |
| 3 | パッティングラインを踏む | マナー違反 | グリーン上は同伴者の位置を常に確認 |
| 4 | プレーが遅い(40秒オーバー) | マナー違反 | 自分の番が来る前に距離・番手を決めておく |
| 5 | 服装規定(襟付きシャツ等)違反 | 受付で着替えを求められることも | 事前にコースのドレスコードを確認 |
ドレスコードの詳細は「ゴルフ場の服装ルール完全ガイド」で解説します。
インドア練習場でルールを身に付けるコツ
「ルールを暗記するのは苦手」という方こそ、インドア練習場(シミュレーションゴルフ)が役立ちます。本物のコースに出る前に、シミュレーター上でルール感覚を身につけられるからです。
シミュレーターでルール感覚を養う3つのポイント
- OB判定とペナルティ加算を画面で確認: ほとんどのシミュレーターはOBを自動判定し、ペナルティを加算した状態で次打のライを再現してくれます。打つ→OB→3打目から、という流れを画面で繰り返し体験できます。
- 18ホール通しのプレー時間を計測: シミュレーター1ラウンド(18H)を90分以内で回す目安で練習すると、本コースの4時間半ペースに自然と合います。
- 同伴者役のコーチや友人と回る: 多くの店舗で2-4人プレーが可能。マーカーの置き方・打順・スコア記入を実際にやってみる場として最適です。
おすすめの利用シーン
- 初ラウンド前2週間: 週1-2回シミュレーターでフルラウンド練習
- コース直前: 当日のコース(東京近郊なら多くのコースがシミュレーターに収録)を選んで予習プレー
- ラウンド後の振り返り: 同じコースをシミュレーターで再現し、ミス箇所を打ち直す
東京エリアでシミュレーター搭載のインドアゴルフ施設を探したい方は、トップページのエリア検索からお近くの店舗を見つけられます。
ゴルフルール よくある質問
Q. ルールを忘れた・分からない時はどうすればいい?
A. 「困ったら同伴者やキャディに聞く」が公式に認められた行動です。罰則はありません。同伴者全員が初心者の場合は、その場のスマホでルールアプリ(JGAルールアプリ等が無料)を確認してもOK。
Q. ボールが他人の打球で動かされてしまったら?
A. 同伴者のボールが当たって自分のボールが動いた場合、罰なし・元の位置に戻して再開します。当てた本人もペナルティはありません(ただし「打球注意」のマナー違反)。
Q. クラブを忘れて13本以下でラウンドする場合は?
A. 14本以下は問題ありません。ペナルティは「14本超」の場合のみ。むしろ初心者は7本(ハーフセット)程度で回るほうがクラブ選択に迷わず、上達も早いと言われています。
Q. 1打目でOBを2回連続で打ったら?
A. 正式ルールでは「1打目OB→3打目もOB→5打目から」というカウントになります。多くのゴルフ場では、コース独自のローカルルールとして「特設ティー(前進4打目)」を設定しており、ティーショット連続OBの救済として使えます。事前にスタートマスター(キャディマスター)に確認しておきましょう。
Q. 暫定球を打ったら、必ず暫定球を続けないといけないの?
A. 元のボールがプレー可能な位置で見つかれば、元のボールを優先して続けます。暫定球は「念のための保険」という位置づけです。
Q. 近年(2019年・2023年)のルール改訂で変わった主なポイントは?
A. 2019年改訂(大規模改訂) での主要変更:
- ロストボールの捜索時間が5分→3分に短縮
- グリーン上でピンを刺したままパッティングOK(従来は罰打)
- すべてのドロップが「膝の高さ」に統一(以前は肩の高さ)
- ボールに偶然触れた場合などの罰打が大幅緩和
- バンカー内でのアンプレヤブルに2罰打でバンカー外への後方線救済を新設
- ダブルヒット(空振り→当たる等)の罰打廃止
2023年改訂(マイナー改訂) では、ハンデキャップの一部運用やプレー進行関連の細部が更新されました。改訂の詳細は4年ごとに見直されるため、最新の正式ルールはJGAの公式サイトで確認できます。
まとめ:20項目を押さえれば初ラウンドは怖くない
ゴルフのルールは膨大ですが、初ラウンドで実際に発生するのは本記事で紹介した20項目で90%以上カバーできます。まずは「プレーの大原則5項目」と「OB処理」だけ覚えれば、残りは現場で同伴者・キャディに聞けばOK。
そして本記事の核となる学び方は次の3ステップです。
- 本記事を初ラウンド1週間前に通読
- インドア練習場でフルラウンドを2-3回シミュレーション
- ラウンド当日はスマホにルールアプリを入れておく
ルール以上に大事なのが「マナー」と「プレーペース」です。次回はゴルフのマナー 押さえるべき10カ条で、初ラウンドで嫌われない作法を解説します。スイングの基礎はゴルフスイングの基本 完全ガイド、クラブの種類はゴルフクラブの種類と役割で順次お届けします。
※本記事は2026年5月時点のゴルフ規則(R&A・USGA・JGA共同制定)に準拠しています。最新の正式ルールはJGA(日本ゴルフ協会)公式サイトをご確認ください。
